Investigation

ディーラー限定の腕時計サークル──表に出ない「お名前入り検品動画」の真相

検品デスクの様子

広告もプレスもなし。紹介とDMだけで回る小さな輪──そこで取引の鍵になるのが、発送前に撮られる「お名前入りの検品動画」だ。物量ではなく、現物の出来だけで勝負する人たち。彼らの周りには、不動産営業、ディーラーのGM、そして静かに時計を楽しむインスタの顔ぶれが集まる。「見せ方」ではなく「見られ方」を知っているからだ。

「冷やかしなら、クリップ(動画)を無駄にしないで」

最初はぶっきらぼうに聞こえる。しかし実際は、品質管理の手順そのもの。手書きのあなたの名前をフレームに入れ、ベゼル・夜光・クロノ・シリアル位置まで撮る。あなたがOKを出すまでお金は動かない。それだけの話だ。

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「動画を見て決めるだけ。急かされる感じはない」──取材で聞いた共通点だ。派手なカウントダウンも、リスト取りもない。

QC(検品)という儀式

発送前のルーティンはシンプル。あなたの名前入りで、個体そのものを撮る。夜光・針送り・巻き上げ・厚み・ガラス高・ブレスの遊び、必要なら耐圧チェック。違和感があれば、その個体は出さない。

QC 1 QC 2 QC 3 QC 4

「他で失敗した」人が戻ってくる理由

我々の受け皿になっているのは、写真映えだけの粗い個体で痛い目を見た人たちだ。夜光が弱い、ブレスがチャラつく、刻印のフォントが違う──写真では立派でも、手に取ると屋台レベル。その落差にうんざりしている。

だからこそクリップに価値がある。相手の実績ではなく、あなたの個体をあなたの目で確かめる。納得しない限り、何も始まらない。

気づかれたくない? 大半は気づかない。

最近の最上位クラスは、ケース形状・面の立ち上がり・ヘアライン・リュウズ座り・リュウズガードの角度まで追い込んでいる。街中で気づくのはまず無理。見る人が見るのは“雰囲気”と“佇まい”であって、品番の討論ではない。

だから、仕事の第一印象が重要な人ほど静かに使っている。不動産・自動車・コンサル。腕が仕事の会話を邪魔しないことが、一番の目的だ。

「中身」の話をしよう

上位ラインでは、レイアウトが1:1で再現される。ブリッジの位置、ローターの肉厚、石数の配置、装飾パターンまで、見た目のアーキテクチャは限りなく近い。もちろん地金や公差は本家の門外不出だが、外観の整合性使い勝手のスペックは実用上十分──防水、パワーリザーブ、巻き上げ効率は現行バッチで“ほぼ仕様内”。結論は簡単だ。見た目は合っている。着けた時の気分も合っている。

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Deskで見かける面々

Brand wall: Rolex, Patek, AP, RM, Cartier, IWC, Omega, Tudor, VC

まずは「お名前入り」の検品動画で判断してください。

派手なセールやカウントダウンはありません。動画を見て「OK」なら、密封・保険付きで出荷します。